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2012年6月28日 (木)

「新宝島」復刻版 手塚治虫 小学館クリエイティブ

「新寳島」は、昭和22年(1947年)4月1日に育英出版から発行された。
当時は、40万部も刷られたとのことだったが、現代でその存在が確認出来る本はごくごくわずかで、数百万円のプレミア価格が設定されているという伝説のマンガ本なのである。

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この復刻版が発売されたのが、2009年3月のことだったので、初版から実に62年ぶりの快挙となった。

この作品は、手塚治虫作品の単行本デビュー作(実際には違う)として知られる幻の作品なのである。ワタシがこの作品の存在を知ったのは、藤子不二雄の自伝まんが「まんが道」でのことだった。

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「まんが道」では、学生時代にふたりがこの「新寳島」に出会って衝撃を受けるシーンが描写されている。その作品に大きく影響され、漫画家としての手塚治虫を意識したものとは、どんな作品なのだろうかと、とても興味を持ったものだ。
ただ、残念ながら「新寳島」という作品は”幻のマンガ本”とされ、どんな内容なのかという詳細さえわからないまま月日は流れていった。だが、そんなことさえ忘れかけていたときに「新宝島」に巡り会う機会は、突然訪れた。

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1984年、手塚治虫漫画全集281として「新宝島」(講談社)が発売され、ついに幻の本を手に取ることができた。
しかし、過剰な期待や妄想を抱いていたせいか、現代の漫画事情と比較してしまうと、「物足りなさが残った」というのが正直な感想である。

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確かに、発売当時はセンセーショナルな絵柄やスピード感で、読者に衝撃を与えたのかもしれないが、「なるほどね」といった感想以上の言葉はなかった。
巻末には、”「新宝島」改訂版刊行のいきさつ”として、手塚先生の言葉で、改訂した経緯を説明されていたが、当時はもともとの原版を読んだことがなかったので、正直、コトの重大さをあまり把握出来ないままだった。

あれから25年という歳月が経ち、偶然に書店で「新寳島」復刻版を見つけて、迷わず購入。復刻版の表紙は、紛れもない”あの憧れ続けた表紙”で、それだけで感激してしまったほどだ。

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■復刻版と漫画全集版の違い

復刻版を再読して、改めて漫画全集版とを読み比べてみたら、両者の違いに愕然とさせられる。

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復刻版は、デビュー間もないということもあってか、絵柄はやはりディズニー映画に影響を受けたタッチになっているのが特徴的。セリフの文字は、手書きで書き込まれていて、当時の時代背景をも感じ取れる。

書き直した全集版はといえば、やはり卓越した熟練のタッチで描かれ、セリフ文字も写植なので圧倒的に読みやすかった。

内容も、作者が当初描いていたイメージに近い作品ということで、当時のマンガ作品としては異例の完成度だったということが容易に推測できる。

内容的には、やはり”リメークした”全集版の方に軍配があがるだろう。

両者を読み比べてから、改めてこの全集の「あとがき」を読むと、当時は理解出来なかった手塚先生の執筆当時の思いや構想を知ることができ、結局、”自身が思い描いていた作品にはならなかった”という無念の思いを感じ取ることが出来る。

■復刻に抵抗した手塚治虫の真意

手塚先生は「新寳島」を漫画全集に加えることを、最後まで抵抗されていたとのことだったが、この「あとがき」を読んで、その真意が痛いほど伝わってきた。

ファンの心境からすれば、なぜあんな有名な作品を復刻することを嫌がっていたのかが、当時は理解出来なかった。だが、復刻版を読んでみて、手塚先生の真意を理解できたような気がするのだ。

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復刻版のもととなった当時の作品の背景には、たくさんのドラマが詰まっている。
と、同時にたくさんの幸運と不幸な出来事が重なったゆえの”事件”だったのだろうと思える。

※「新寳島」に関しては、すでにたくさんの研究がなされているので、ここでは詳細には触れないものとする。

原作は、酒井七馬が担当。この草案をもとに、手塚がワラ半紙に250ページもの原稿を書き上げる。

しかし、単行本では190ページが限度ということで、酒井が話の前後に関係なく、勝手に60ページをカット。この他にも、セリフの変更や書き文字の付け足し、キャラクターの顔を変更するなど手塚に一切の相談もなく、作者の意思とは無関係に修正が行われた。(このことが大きく関係して、「自分の作品とはいえない」との認識だった。)

※これが復刻版のラストシーン。まだ続きのシーンが存在していたのに、島を去る場面を勝手にラストシーンにされている。

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また、当時の未熟な製版技術にも問題点があり、これが復刻版への大きな障害となっていたのは、間違いないのないところだろう。

当時の原稿製版は、版下が原稿を自分でトレース版にひきうつしてオフセット版を作るのが習わし。下手くそな版下だと、原稿をめちゃくちゃにしてしまい、目も当てられないひどい線の作品が出版される。手塚先生によれば、描き版の技術は最低で、手抜きでいい加減にひきうつしされたため、もとの原稿とはかけ離れた絵になっていた、とのこと。

結局、納得のいかない絵(版下)を復刻されることに容認出来ない原因は、ここにもあり、全集では、新たにリメークした「新宝島」を描き上げることになった。

この復刻版を読まなければ、この一連の出来事に気づかないまま見過ごしていたと思うと、やはり、この復刻版の出版された意義は大きいものであったといえる。ぜひ、手塚ファンならびに、マンガフリークの方は、両者の比べ読みを実践して欲しいと思う。

※こちらは、リメークした全集のラストーシーン。

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■昨日の正解No.114【ポーポイズ(ポーポイジング)現象】

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名称は、ネズミイルカ(porpoise)が海面を上下するように泳ぐ様子に由来。自動車や船舶、航空機などでもこの現象が確認されている。2009年3月23日に成田空港で発生した フェデラルエクスプレス80便着陸に失敗し、炎上した事故は、このポーポイズ現象とウインドシアが重なったための事故という可能性が指摘されている。

※ウインドシア(wind shear)とは、大気中の垂直(鉛直)方向または水平方向の異なる2点間で風向や風速が劇的に異なること。ウインドシアは、あくまでも風の名前ではなく風の状態である。 それも、ある地点における風の状態ではなく風の状態のこと。それも、ある地点における風の状態ではなく、移動中の物体などにおける観測上の風の状態である。

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